明治人の「中国紀行」に学ぶ(下)漢族の「熱帯への進軍」
5月3日、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれたADB(アジア開発銀行)のセミナーで、麻生太郎財務大臣は日米が最大の出資国であるADBへの出資比率を高め、「品質の高さ」と「信頼性」を強力に打ち出しました。AIIBに対する牽制でしょう。麻生大臣の発言が3月中旬における英国のAIIB参加表明以前であったなら、中国当局に対する牽制として一定の効果はあったと思われます。だが、現段階でのADBに対するテコ入れ策は、戦争において最も避けるべきとされる「兵力の逐次投入」の感を免れません。やはり日本はADBを経由してAIIB、つまりは北京との間でチキン・レースを展開する必要はなく、費用対効果を考えた時、ADBの将来像を再構築しないままに闇雲に日本からの拠出金を積み増すことは避けるべきだといわざるをえません。
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