トランプ氏「メキシコ不法移民批判」がもたらす共和党の「イメージダウン」

執筆者:足立正彦 2015年7月14日
エリア: 北米

 共和党大統領候補指名獲得争いに名乗りを上げている1人の政治家の発言が、米国内外で物議をかもしている。

 実業家やテレビ・パーソナリティとしても知られているドナルド・トランプ氏が、6月16日、彼の富の象徴であるニューヨーク・マンハッタンにあるトランプ・タワーで、自らの出馬表明イベントを行った。その際、メキシコからの不法移民について、メキシコは最も優れた人々を米国には送っておらず、問題のある人々が国境を越えて入国しており、メキシコからの不法移民は米国内に麻薬や犯罪を持ち込んでいる、と発言したのである。さらに続けて、一部には善良な不法移民もいるが、不法移民には強姦者も含まれており、国境を越えて恐ろしい感染症をも持ち込んでいる。解決策として、メキシコとの国境にメキシコ政府の負担で巨大なフェンス(壁)を建設すべきだ、との議論まで展開した。以後、トランプ氏は、不法移民に対する厳しい措置を導入することで真の米国を取り戻す必要性を訴え続けている。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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