経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(76)

「上海の異変」は中国経済「大屈折」の予兆である

田中直毅
執筆者:田中直毅 2015年7月16日
エリア: 中国・台湾

 米国に次ぐ経済規模となった中国だが、エネルギーや資源の消費にかかわって言えば、世界経済に与える影響は米国を上回っているともいえる。また鉄鋼、セメント、非鉄、石化製品などの基礎資材の需要という面においては、世界全体の4分の1から2分の1に達するまでになった。中国の経済建設方式がこうした需要面での片寄りを生んでいるからだ。
 6月12日にピークをつけた上海株式市場では、その後1カ月間に相場の基本の動揺が激しく、中国経済の先行きの見通しを一気に暗転させた。市場経済と計画経済とを都合良く使い分けてきた中国共産党の指導者たちも、今回は「市場における狙撃」の恐ろしさを知ったことだろう。周章狼狽の株価対策が急遽行われているが、今回の「狙撃」により中国経済の大屈折は、もはや世界経済の予想にあたっての大前提とせねばならなくなった。
「狙撃」に至る前の段階で、「計画」を行う当局の立場から、「市場」に対して3つの恣意的介入が行われてきた。(1)金利(2)株価(3)賃金がそれで、それぞれにはもっともらしく役人的解説がなされている。しかしはっきりしていることは、「総設計士」に相当する人物は誰もいないことだ。1978年に復活した鄧小平がその後の改革と開放の「総設計士」と呼ばれたこととの対比で、ことの深刻性が理解されるべきではないのか。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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