「習近平訪米」を目前に強まる米大統領候補らの「対中批判」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年8月31日

 計17名も出馬している野党共和党の大統領候補指名獲得争いで政策議論が活発化する中、最近、中国に関する議論が急速に目立っている。背景には、世界第2位を誇る中国経済を巡る先行き不透明感が益々強まり、米国内では人民元切り下げや、それに伴う対米輸出攻勢に対する懸念が高まっていることがある。近年、所得の伸び悩みが鮮明になる一方、雇用機会が脅かされることへの不安が米国民の間に広がりつつあり、こうしたことも中国に対する警戒心を強める一因となっていると考えられる。

 

中国への根強い不安と不信

 中国からと見られる、米国政府のネットワーク・システムや米企業の機密情報などを標的とするサイバー攻撃も頻発しており、オバマ政権は強い懸念を繰り返し表明してきた。実際、オバマ大統領は今年4月、米国の安全保障や経済を脅かす深刻なサイバー攻撃に関与した個人や組織に対し、財務省が資産凍結や金融取引禁止などの経済制裁措置を発動できる新たな大統領令に署名した。だが、その後もサイバー攻撃は深刻さを増すばかりである。とりわけ、今年6月には政府人事管理局(OPM)のデータベースへの不正アクセスが判明し、現・元の連邦政府職員約2200万人もの個人情報の流出が明らかになった。こうしたサイバー攻撃も、米国民の中国に対する印象を悪化させている一因である。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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