北朝鮮人事情報(下)粛清、昇格、復権、ショック死

平井久志
執筆者:平井久志 2015年9月17日
エリア: 朝鮮半島

元東淵党統一戦線部第1副部長にも粛清説

 韓国紙、中央日報は8月20日付で、対北朝鮮消息筋の話として、元東淵(ウォン・ドンヨン)党統一戦線部第1副部長が粛清された情報があると報じた。
 元東淵第1副部長は、金養建党統一戦線部長に次ぐ対南対策の責任者だ。
 中央日報は李明博(イ・ミョンバク)前大統領が今年2月に出版した回顧録『大統領の時間』の中で、南北間の秘密接触の中身を公開したことが原因となって、統一戦線部幹部が調査を受け元東淵第1副部長が粛清されたという情報があるとした。
 一方、米政府系放送局、自由アジア放送(RFA)は8月28日に元東淵第1副部長が海外同胞から賄賂を受け取り解任されたと報じた。
 今年1月に韓国系カナダ人、ヒョンス・リム牧師が逮捕された。同放送が、北朝鮮消息筋の話として伝えたところでは、国家安全保衛部はこの事件を端緒に、1カ月近く党統一戦線部を捜査し、統一戦線部が海外同胞から賄賂を受け取っていたことを摘発したという。リム牧師は経済協力のために訪朝したが逮捕され、スパイ容疑で拘束されている。
 韓国の情報当局は「元東淵第1副部長の身辺異常については鋭意、注視している」としている。元第1副部長の粛清理由はまだ確定できないが、今年8月に故金大中大(キム・デジュン)統領夫人の李姫鎬(イ・ヒホ)氏が訪朝した際にも姿を見せておらず、粛清された可能性が高い。

執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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