堕ちゆく世界の迷走 (61)

習主席が米国で味わった「カノッサの屈辱」

 笑顔ひとつない強張った共同記者会見だった。鳴り物入りで赤い絨毯を踏んだ中国の習近平主席は、米国の冷ややかな空気に驚いたことだろう。サイバー空間で繰り広げられる死闘と、南シナ海で着々と進む岩礁の埋め立て。米世論の堪忍袋の緒が切れつつある中で、オバマ大統領も中国との間で一線を引かざるを得なくなったのだ。

 9月25日にホワイトハウスで行われた共同記者会見。「オバマ氏は習氏と目を合わせることもなく、笑顔もほとんど見せなかった」(読売新聞9月27日朝刊)。日本の各紙にもそんな表現が溢れている。目を合わせなかったのは、ほかでもない。自らに向けられた米世論の厳しい眼差しを意識し、「ここでニコリとしたら炎上必至」と身構えたからだろう。

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