テロリストの誕生(番外編)クアシ兄弟の「極貧の幼少期」を追う

国末憲人
執筆者:国末憲人 2015年10月24日
エリア: ヨーロッパ 中東

 日本の大手メディアが経営面で曲がりなりにも独立を保っているのに対し、フランスでは大新聞やテレビのほとんどが企業グループの傘下にある。親会社は軍事産業や有名ブランドで、当然ながら中立性や公平性に疑問が持たれる。これら伝統メディアへの市民の信用が低下する中で、「信頼できるメディア」として近年急速に台頭したのが、調査報道やルポに特化したインターネットのニュースサイトである。

 いずれも、『ルモンド』紙や『リベラシオン』紙などの記者らが、雇われとしての活動に限界を感じて独立し、立ち上げた。代表的なのは『メディアパルト』で、『ルモンド』元編集局長のエドウィ・プレネルらによって2008年に設立された。当時のサルコジ大統領にからむスキャンダル、オランド政権の予算担当相による隠し口座疑惑など、フランス政界を揺るがす特ダネを連発し、ジャーナリズム界で重要な地位を占めるに至った。

『ルポルテール』も、そのようなネットメディアの1つである。『ルモンド』の著名な環境記者エルベ・ケンプが1989年に雑誌として創刊し、2007年からネット版になった。環境問題を中心に、良質のルポを掲載している。『メディアパルト』のような衝撃度には欠けるものの、高い評価を得るメディアの1つとなった。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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