深夜の衝撃「中台トップ会談」実現へ

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2015年11月4日
エリア: 北米 中国・台湾

 深夜の台湾に衝撃が走った。日本時間の3日午後11時半、台湾のテレビに「速報」の文字が突然現れた。「週六馬習会(土曜日に、馬英九・習近平が会談へ)」。情報のソースは、ネットで速報を流した『自由時報』だった。自由時報は台湾の日刊紙で、政治的立場は明確な民進党寄り、反国民党、反中国を掲げている。記事を発信したのは自由時報きってのベテラン記者で、台湾の政権内部に太いパイプを持っていることで知られる鄒景雯記者で、1949年の中台分断以来、初のトップ会談を伝えるさすがの力量を示した。

 

馬総統の独断か?

 同紙の立場を反映して、その報じ方は厳しいものだった。「台湾の公民社会や国会の同意と了解を得ておらず、民主国家の常規を外しており、社会に大きな衝撃をもたらすだろう」「本紙の報道まで、ブラックボックスの作業が行われており、公開透明原則にも反している」。そんな手厳しい評論が並んだ。

 本来、総統府サイドとしては、4日に立法院(国会)に報告してこの件を公にし、5日に馬総統の記者会見を行って詳細を世間に伝える予定にしていたとされる。だが、1日早く、しかも望ましくないメディアに先んじて情報が漏れた形となった。このリークは、馬政権内にも、今回の中台トップ会談への異論があることを示唆している。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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