「イスラーム国」のワシントン攻撃宣言はどれほど実態を伴うのか

池内恵
執筆者:池内恵 2015年11月17日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 パリの同時多発テロで各国が騒然とする中、16日に公開された、「イスラーム国」のイラク北部のサラーフディーンを拠点とする支部(「キルクーク州」を名乗っている)が作成したと見られる宣伝ビデオが話題になっている。【ロイターのビデオ抜粋】【ワシントン・ポストのビデオ抜粋

 ビデオでは、パリの攻撃を称揚し、同様の攻撃を「十字軍への参加者」全てに向けると脅し、「ヨーロッパ諸国」や「アメリカのワシントン」と攻撃の対象を特定する。

 パリの事件によって「イスラーム国」(の支持者)が先進国で「組織的」な攻撃を行う能力があることが印象づけられた後なだけに、同様の攻撃が先進国で次々に起こることが現実味を帯びて危惧される。フランスのヴァルス首相も16日のテレビ出演で、数日〜数週間以内の再度の攻撃がフランスあるいはヨーロッパ諸国で起こることを警戒する呼びかけを行っている。【NHK=一定期間後リンク切れになります】

パリ同時多発テロは組織原理・戦略の転換を意味するのか

 しかし、このような扇動は以前から行われてきたものであり、「イスラーム国」の組織原理が変わり、組織的な作戦能力がヨーロッパでも高まったと言えるのか、あるいは戦略目的が変化してイラクやシリアよりも欧米先進国でのテロに重点を移したと判断できるのか。今の段階で軽々しく結論を出せない。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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