テロの温床「モレンベーク」を歩く(上)複雑に絡まる人間関係

国末憲人
執筆者:国末憲人 2015年11月25日
エリア: ヨーロッパ 中東

赤丸が今回の襲撃と関連した場所、青丸が警察署、緑丸はユダヤ博物館。上部灰色枠の表題左端にある→をクリックすると施設名枠が表示され、施設名横の色丸をクリックすると地図上の丸とリンクします。上部右端の窓枠マークをクリックすると、別ウィンドウで地図が拡大されます。

 

 テロなき世界に近づくには、どうすればいいか。パリ同時多発テロの被害者に思いをはせつつ、テロと対決する意志を新たにする営みは、もちろん重要だ。同時に、加害者側の実像や環境を探り、その精神構造を分析する作業も欠かせないだろう。

 今回のテロ容疑者の多くは、遠い中東の砂漠に生まれ育った人々でなく、地元フランスやベルギー出身の若者たちである。過激派組織「イスラム国」の支援があったかもしれないが、基本的に彼らは、欧州文明社会でテロリストに成長し、テロを準備したと考えられる。つまり、文明社会に暮らす私たちとテロリストとは、多くの要素を共有しているのである。

 テロリストたちの多くが幼少時を過ごし、あるいはその後出入りしていた地域が、ベルギーの首都ブリュッセル西郊の街モレンベークである。そこに漂う空気を吸うことで、過激派やテロリストを生み出す要因を感じ取ることができないか。テロから5日を経た11月18日、ブリュッセルを偶然訪れる機会があり、合間を見て訪ねてみた。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
comment:6
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順