「中台トップ会談」会場ホテルオーナーと習近平の「深い関係」

樋泉克夫

 台湾の『自由時報(電子版)』(12月7日)が興味深い記事を掲載している。孫文の孫娘で「孫中山和平教育基金会」主席を務める孫穂芳が、国民党の重鎮で立法院院長の王金平と対談した後、記者団の質問に答える形で、シンガポールにおける両岸トップ会談は両岸の平和に多いに資すると語り、さらに「中華人民共和国は中華民国であり、中華民国は中華人民共和国である」と付け加えたというのだ。目下話題のNHK朝の連続ドラマの主人公の口癖を借りるなら、「びっくらポン」の発言だ。

 彼女は王院長とは「老朋友」の間柄とのこと。2011年正月に台北で交通事故に遭って亡くなった同じく孫娘の孫穂芬(享年72歳)とは顔形と雰囲気が似ている点からして、おそらく母親が同じ姉妹だろう。今時、台北で国民党の重鎮と面談した後、なにゆえに中華民国=中華人民共和国などという発言を行ったのか。両国が共に祖父の孫文を「国父」として讃えているからということかもしれないが、それにしても突飛すぎる。これも習近平と馬英九の2人の「先生」によるシンガポール会談の余波と考えられるし、中台両岸双方の政治家の複雑に絡み合った人脈が生み出した愛憎劇が背景にあるからだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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