セイモア・ハーシュのクリスマス・プレゼント:米軍上層部はオバマのシリア政策をサボタージュした?

池内恵
執筆者:池内恵 2015年12月25日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 中東

中東をめぐる話題のスクープといえば、たいていこの人から発せられる。アメリカのジャーナリスト、セイモア・ハーシュである。

『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』の2016年1月号の一部がウェブで公開されているが、そこでハーシュがまたも爆弾スクープを寄稿している。

Seymour M. Hersh, “Military to Military,” London Review of Books, Vol. 38 No. 1 · 7 January 2016, pp. 11-16.

この記事によれば、オバマ大統領と側近によるシリア政策を、軍の制服組の最上層部がサボタージュして骨抜きにした。軍は大統領の意向に反して、秘密裏にドイツ・イスラエル・ロシアへ諜報情報を流して間接的にアサド政権と協力し、政権維持を助けてきたという。この記事が正しければ、オバマ政権が批判するロシアの対シリア軍事介入やアサド政権支援の政策を、米の軍部は密かに歓迎し、支援・協調していたことになる。

記事の主な情報源としては、参謀本部の高いレベルの「元顧問」が匿名で情報を提供し、国防総省の国防情報局(DIA)の元局長のマイケル・フリン中将が実名発言でそれを追認した形になっている。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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