なぜ「維新」は大阪で強いのか:カギは「選挙制度」にあり

砂原庸介
執筆者:砂原庸介 2016年1月13日
カテゴリ: 政治 社会
エリア: 日本

 2015年11月22日に行われた大阪府知事・大阪市長の「ダブル選挙」は、ともに大阪維新の会の候補の勝利に終わった。本稿では、その勝利の背景として、大阪に特有の選挙制度が政党間競争を規定していることについて説明したうえで、その制度が今後の大阪の政治をどのように規定していくかの展望を議論する。

選挙制度が生み出す「二元代表」の対立軸

 日本の地方政治では、地方自治体の長と議会が並立する、いわゆる「二元代表制」という制度が取られている。このうち長については、松井一郎大阪府知事や橋下徹前大阪市長がそうであるように、一般に注目されることは少なくないが、議会について関心が持たれることは少ない。しかし、議会は二元代表の一方として、重要な案件を議決することが求められており、長がどのような提案をしたとしても、議会の議決を得ることができない場合には地方自治体としての決定に至らない。近年の大阪府・大阪市は、長の側が継続的に様々な提案を繰り出すのに対する議会の対応が問題となり、その議論が一般に注目された稀有な例であると言える。
 大阪の場合、長の提案に対して概して地方議会の側は否定的であった。ただそれは大阪に限ったことではなく、ほとんどの地方自治体において見られる現象である。その原因は、地方議会を構成する議員を選ぶ選挙制度にあると考えられる。都道府県・政令市は、複数の選挙区を作って1選挙区で3人から5人の当選者を決める、いわゆる中選挙区制で選出されるが、狭い選挙区に複数の候補者が乱立して、自治体全体から見れば少数の得票をめぐって競争しがちとなっている。グラフは、2015年統一地方選挙における大阪市会議員の得票数だが、選挙区が多い大阪市では、有権者が全体で200万人を超えるのに対して各議員の得票数はおおよそ1万票、全体の0.5%程度である。そのため、自治体全体を選挙区とする小選挙区制で選出され、「全体の民意」を強調するほうに傾きがちな長との意見が異なりうるのである(都道府県を対象としたより詳細な分析については、拙著『地方政府の民主主義』[有斐閣、2011年]を参照いただきたい)。

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執筆者プロフィール
砂原庸介
砂原庸介 大阪大学大学院法学研究科准教授。専門は行政学・地方自治。1978年、大阪府生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院総合文化研究科後期博士課程単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(PD)、大阪市立大学大学院法学研究科准教授を経て現職。著書に『地方政府の民主主義―財政資源の制約と地方政府の政策選択』(有斐閣、日本公共政策学会賞受賞)、『大阪―大都市は国家を超えるか』(中公新書、サントリー学芸賞受賞)、『民主主義の条件』(東洋経済新報社)などがある。
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