北朝鮮「水爆実験」の衝撃(上)「核技術」は着実に向上

平井久志
執筆者:平井久志 2016年1月15日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮は1月6日午前10時(日本時間午前10時半)、咸鏡北道吉州郡豊渓里の核実験場で4回目の核実験を行った。北朝鮮は2時間後の同日正午(同日午後零時半)、「政府声明」で「朝鮮労働党の戦略的決心によって、チュチェ105(2016)年1月6日10時、チュチェ朝鮮の初の水爆実験が成功裏に行われた」と発表し、4回目の核実験が「水爆実験」であると主張した。
 北朝鮮の過去3回の核実験では、核実験実施は朝鮮中央通信報道を通じて確認されたが今回は、異なった。核実験後に「特別重大報道」が正午にあると予告され、正午の朝鮮中央テレビでは最初に男性アナウンサーが、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が昨年12月15日に核実験実施の命令を下し、今年1月3日に最終命令書に署名したという核実験実施までのプロセスが初めて公開された。続いて、重大発表ではたびたび登場する北朝鮮の看板女性アナウンサー、李春姫(リ・チュニ)氏が登場し、核実験実施の政府声明を読み上げた。
 過去の3回の核実験では朝鮮中央通信の5行程度の簡単な報道であったが、今回は核実験実施のプロセスでの金正恩第1書記の決断が説明され、核実験についても、その意義などが過去より詳しく説明された。
 核実験の技術的側面でも過去とは異なる説明があった。2006年10月の第1回核実験では「核実験は100%われわれの知恵と技術によって進行された」と説明し、2009年5月の第2回核実験では「爆発力と操縦技術において高い段階で安全に進行」「科学技術的問題(複数)を円満に解決」とし、2013年2月の第3回核実験では「小型化、軽量化された原子弾を使用し、高い水準で安全で完璧に進行した核実験」と説明された。今回の核実験については「われわれの知恵、われわれの技術、われわれの力に100%依拠した今回の実験を通じて、われわれは新しく開発された試験用水素弾(水爆)の技術的諸元が正確であることを完全に立証し、小型化された水素弾の威力を科学的に解明した」と説明した。
 さらに政府声明は「わが共和国が行った水素弾実験は、米国をはじめとする敵対勢力の日を追って増大する核脅威と恐喝から国の自主権と民族の生存権を徹底的に守り、朝鮮半島の平和と地域の安全を頼もしく保証するための自衛的措置である」とし、声明のかなりの部分を割いて米国批判を行い、自衛の措置であることを説明した。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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