日銀「マイナス金利」導入の「本当の理由」

執筆者:鷲尾香一 2016年2月4日
タグ: 日銀 中国 日本
エリア: アジア

「もう麻薬中毒患者のようなもの。どんどん“劇薬”になっていく」――。

 日本銀行が1月29日の金融政策決定会合で導入を発表した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」(以下、マイナス金利政策)について、メガバンク首脳はこうたとえた。

 まずは、この「マイナス金利政策」とは具体的にどのようなものなのか説明しよう。

 日銀と当座預金取引のある銀行(日本の銀行のほとんど)は、自分の銀行が顧客から預かっている預金の一定割合の現金(所要準備額)を「準備預金」として日銀の当座預金口座に預けることが法律で義務付けられている。さらに現状では、法律で定められた以上の準備預金(超過準備預金)が預けられている。超過準備預金には年0.1%の利息が付くため、銀行にとっては、低金利で利ザヤが薄く、貸し倒れリスクのある融資を行うよりも、超過準備預金の方が確実に利息を生み出すことから、大量の資金を日銀当座預金に預けているためだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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