日本メディアは「台湾総統選」をどう報じたか

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2016年2月5日

 新聞記者は紙面に自分の書いた記事が載ってなんぼの仕事である。書けども書けども、載らない時はどうやっても載らない。しかし、書いたぶんだけ面白いように載るときもある。それは、世の中が記事を必要としているときだし、逆に言えば、社会が記事を必要としないときは、いくら頑張って書いても載らない。

 新聞は紙面を、テレビは枠を、それぞれ内部で記者やプロデューサーが奪い合ってつくる。このフォーサイトの記事のように字数制限の緩やかなウェブのコラムとは、そのあたりがいちばん違うように思う。

 

民主化以後増えた台湾報道

 台湾報道は、日本のメディアで決して掲載率のいい方ではなかった。まず第1に、台湾の記事を読みたいという日本社会のニーズがそれほど大きくなかった。同時に、日本のメディアが報じる台湾報道の内容も、あまり世間の興味を引くものではなかった。1970年代から日本の大手メディアは産経新聞を除いて台湾に常駐の記者を置いておらず、報道は現地の新聞や電話取材に頼っていた。さらに蒋介石・蒋経国の時代は、国民党の1党専制の下、日本人が読みたくなる台湾のニュースもそれほど多くはなかった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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