一触即発の朝鮮半島(上)止まらぬ「チキンゲーム」

平井久志
執筆者:平井久志 2016年3月31日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮は1月6日に4回目の核実験、2月7日に事実上の長距離弾道ミサイルである人工衛星を打ち上げたが、その後も金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の挑発・暴走が止まらない。北朝鮮は300ミリ多連装砲、スカッドミサイル、ノドンミサイルなどの発射を繰り返し、韓国の青瓦台(大統領官邸)や政府機関を攻撃すると威嚇している。また、韓国政府も、これに対して強硬路線で対応している。米韓両国も先制攻撃や最高指導者を除去する「斬首作戦」を隠さず、最新鋭装備を動員して史上最大規模の合同軍事演習を実施している。

 南北間では、これまであった軍事当局者間の通信ラインや板門店の連絡ルートも断絶したままだ。韓国軍は北朝鮮の軍事挑発があった場合は「3倍返し」をするとの方針を示しており、偶発的な軍事衝突が起きれば、それがどのように展開するか予想のつかない状況だ。さらに、韓国は4月13日の国会議員選挙に向け、国内は選挙政局になっており、南北間の緊張激化に気を遣う余裕はない。朴槿恵(パク・クネ)政権は緊張を高めて与党有利の状況をつくろうとしているようにも見える。

 30歳を過ぎたばかりで経験不足の金正恩第1書記の対応が予測不能なだけに、この緊張状況が無事緩和されるのかどうか不透明だ。北朝鮮の核・ミサイル問題の現状とチキンゲームのようになっている朝鮮半島情勢を検証する。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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