ライアン下院議長「不出馬表明」で深まる米共和党の混迷

足立正彦
執筆者:足立正彦 2016年4月15日
カテゴリ: 国際 政治 社会
エリア: 北米

 共和党の大統領候補指名獲得争いで「フロントランナー(最有力候補)」である実業家兼テレビパーソナリティのドナルド・トランプ氏の今までの「勢い」に、ここにきて陰りが見え始めている。むしろ、トランプ氏自身やトランプ陣営がそうした事態を招いてしまっている部分があることは否定できない。つい先日も、トランプ氏は、人工妊娠中絶を経験したことがある女性に対してある種の処罰が必要と発言し、党内からも厳しい批判が上がったため、同発言の事実上の撤回に追い込まれた。各種世論調査では、女性有権者の間でのトランプ支持が大幅に低下する「ジェンダー・ギャップ」の存在が指摘されている。また、フロリダ州での選挙キャンペーン中、遊説会場でトランプ陣営のコーリー・レワンダスキー選挙対策本部長が女性記者に対して暴行を振るった容疑で逮捕されたが、こうした展開もトランプ氏の選挙キャンペーンを苦境に陥らせている一因となっている。

 トランプ陣営にとりマイナスとなる出来事が相次いで発生する中、トランプ氏は指名獲得を争っている保守派のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)に対し、3月22日のユタ州党員集会、4月5日のウィスコンシン州予備選挙などで立て続けに惨敗を喫した。とりわけ、ウィスコンシン州予備選挙が注目されていたが、それは昨年秋に撤退した保守派のスコット・ウォーカー氏がウィスコンシン州知事に在職しており、同州予備選挙直前にクルーズ支持を表明し、トランプ阻止に懸命になっていたためである。また、トランプ氏主導で指名獲得争いが展開される中、ウィスコンシン州を地元とするラインス・プリーバス共和党全国委員会(RNC)委員長と、ポール・ライアン下院議長(ウィスコンシン州第1区選出)という同党の有力者がトランプ氏を牽制し続けているためでもあった。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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