日本は「トランプ大統領」を「正しく怖がれ」

執筆者:渡部恒雄 2016年4月25日
エリア: 北米
「トランプ大統領」誕生はありえるのか……(C)EPA=時事

 昨今、トランプが大統領になったら日本はどうするか? という質問を受ける機会が多い。もちろん、現在進行中の共和党大統領選挙予備選でトップを走るトランプ候補が共和党の指名を獲得する可能性は十分にあるし、本選挙も民主党のクリントン候補が優位とはいえ、「トランプ大統領」が誕生する可能性がないわけではない。当然、「トランプ大統領」になったときの日米関係や、日本の対外戦略を考えておくことは重要だ。
 しかし、現在の選挙戦でのトランプ発言をそのまま額面通りに受け取って、極端なシナリオを想定して、心配を煽りすぎるのはあまり賢いとはいえない。福島原発事故の直後、日本社会の中で、放射線の人体の影響について、極端な悲観論と楽観論が入り乱れたことがあったがその時期に、「正しく怖がれ」というメッセージが専門家から発せられた。トランプ現象についても「正しく怖がる」必要がある。 

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席フェロー。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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