台湾新内閣の顔ぶれは「李登輝内閣」?

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2016年4月28日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 中国・台湾

 5月20日に発足する台湾の蔡英文・民進党新内閣の顔ぶれがほぼすべて発表された。正直なところ、なかなか論評が難しい地味な顔ぶれである。「目玉」となるような人物がほとんど見当たらない。そのあたりにも、自分も実務家で派手さを嫌う蔡英文の統治スタイルが表れていると見るべきだろう。

 

「目玉」のない内閣

 台湾では、直接選挙で選ばれた総統が、行政のトップである行政院長を指名し、行政院長が閣僚を任命する仕組みだ。総統は、安全保障や外交、中台関係などの重要案件を預かり、その他の行政課題は行政院長が担当する。企業でいえば、総統は会長、行政院長は CEO(最高経営責任者)のような役割である。

 ただ、台湾総統の権限は曖昧なところがあり、どこまでが総統の所管か分かりにくい。そして、何か大きな問題が起きれば、批判されるのは行政院長ではなく、総統である。2009年の大水害の対応のまずさで批判を浴びて支持率を下げたのは結局、馬英九総統だったことは印象深い。

 また、深刻な失点があったときは行政院長を交代させることで政治責任を取る形が常態化している。2014年の統一地方選で国民党が大敗したときは、行政院長だった江宜樺氏が辞任をして責任を取った。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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