台湾新内閣の顔ぶれは「李登輝内閣」?

執筆者:野嶋剛 2016年4月28日
タグ: 中国 台湾 日本
エリア: アジア

 5月20日に発足する台湾の蔡英文・民進党新内閣の顔ぶれがほぼすべて発表された。正直なところ、なかなか論評が難しい地味な顔ぶれである。「目玉」となるような人物がほとんど見当たらない。そのあたりにも、自分も実務家で派手さを嫌う蔡英文の統治スタイルが表れていると見るべきだろう。

 

「目玉」のない内閣

 台湾では、直接選挙で選ばれた総統が、行政のトップである行政院長を指名し、行政院長が閣僚を任命する仕組みだ。総統は、安全保障や外交、中台関係などの重要案件を預かり、その他の行政課題は行政院長が担当する。企業でいえば、総統は会長、行政院長は CEO(最高経営責任者)のような役割である。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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