テロ1カ月半の「ブリュッセル」:進む背景解明、解けぬ緊張

執筆者:国末憲人 2016年5月23日
エリア: ヨーロッパ 中東

 32人の死者と300人を超える負傷者を出した3月22日のブリュッセル連続テロから1カ月半ほど経った5月上旬、現地に立ち寄る機会を得た。短時間の滞在でしかも日曜日だったため、しっかりとした取材は難しかったが、テロ現場を訪ね、容疑者グループの拠点モレンベーク地区も再訪した。事件の背景に関する解明は進むものの、緊張は解けない街の様子を報告したい。

 

いまも頻繁に巡回する特殊部隊

 テロの発端は、郊外にあるブリュッセル国際空港での爆発だった。男2人が自爆し、多数の利用客や職員が巻き込まれた。空港ターミナルにも大きな被害が出た。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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