テロ1カ月半の「ブリュッセル」:進む背景解明、解けぬ緊張

国末憲人
執筆者:国末憲人 2016年5月23日
エリア: ヨーロッパ 中東

 32人の死者と300人を超える負傷者を出した3月22日のブリュッセル連続テロから1カ月半ほど経った5月上旬、現地に立ち寄る機会を得た。短時間の滞在でしかも日曜日だったため、しっかりとした取材は難しかったが、テロ現場を訪ね、容疑者グループの拠点モレンベーク地区も再訪した。事件の背景に関する解明は進むものの、緊張は解けない街の様子を報告したい。

 

いまも頻繁に巡回する特殊部隊

 テロの発端は、郊外にあるブリュッセル国際空港での爆発だった。男2人が自爆し、多数の利用客や職員が巻き込まれた。空港ターミナルにも大きな被害が出た。

 ブリュッセル国際空港を「EUの玄関口」などと言う人がいるが、実態はロンドンやパリ、フランクフルトにはるかに及ばないローカル空港である。ブリュッセルを訪れる人の多くは、TGVに乗って2時間足らずで行けるパリのロワシー・シャルル・ドゴール空港を利用する。それでも、全日空が昨秋から成田直行便を就航させるなど、次第に重要性が増していたところに起きたテロだった。

ブリュッセル国際空港。この付近で爆発があった(筆者撮影)

 4月初めに再開された空港は、まだ暫定開業の装いだった。突入防止のためだろう。様々な障害物が置かれたことによって利用者の誘導路も複雑になり、行き先を見失った旅行客がトランクを引きずりながら右往左往している。空港ビルの入り口には、荷物検査のテントが設置された。通常だと検査はチェックイン後だが、今回のテロはチェックインカウンター前でおきたため、建物自体への爆発物の持ち込みを警戒するのも当然だ。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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