難民問題とドイツ(2)「ペギーダ」の攻撃対象

執筆者:佐瀬昌盛 2016年6月14日
エリア: ヨーロッパ 中東

 独週刊紙『ツァイト』は昨年9月7日号の記事「難民問題――AfDは国境管理を要求」なるリードの下で、「右翼ポピュリズム勢力のAfDが難民問題で『緊急プログラム』を発表。亡命申請を今後は認めないための憲法改正を目指す」と書いた。わが国とは違い、ドイツがいくら憲法改正に慣れているからと言って、穏かでない話ではある。しかし、ことほど左様に今日のドイツはシリア難民問題に悩まされている、とは言える。

 それではドイツには一体、どの程度の難民がシリアやリビアから流入したのであろうか。私は躍起になりその数字を探した。しかし、それが出てこない。出てくるのは()()()()()()()()()()()()ばかりである。それなら連邦移住・亡命庁――という役所がある――が発表している。ややあって私は自分の迂闊さに気付いた。流入する難民がしかるべき公的機関に出頭しない限り、その全体数は類推のしようがないのである。

 ただ、探しているうちに実に興味ぶかい数値を発見した。今年1月末に連邦統計庁により発表された数字がそれである。同庁の新聞発表によると、「2015年のドイツ人口は少なくとも8190万」とある。その前年の人口は8120万弱だったのに1年後には「少なくとも8190万」だと言うのであるから、その差70万強はなにに基づくのだろうか。自然増ではあり得ない。何らかの原因にもとづく社会増だと考えざるを得ない。誰しも思い当たるのは難民の流入という社会増であろう。なぜなら、今日のドイツはヨーロッパの先進国の例に漏れず、これ程大きな人口の自然増なぞ望むべくもないからだ。

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執筆者プロフィール
佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授。1934年生れ。東京大学大学院修了。成蹊大学助教授、防衛大学校教授、拓殖大学海外事情研究所所長などを歴任。『NATO―21世紀からの世界戦略』(文春新書)、『集団的自衛権―論争のために』(PHP新書)など著書多数。
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