スイス「ベーシックインカム」国民投票「大差否決」で見えたこと

執筆者:磯山友幸 2016年6月16日
エリア: ヨーロッパ アジア

 スイスで6月5日、「ベーシックインカム」導入の是非を問う国民投票が行われ、大差で否決されたことが日本でも話題になっている。ベーシックインカムは国民に毎月一定額の現金を無条件に給付する制度で、フィンランドなどでも導入論議が起きている。格差が広がる傾向にある現代社会で、貧困層を作らないための施策として世界的に関心が広がっているのだ。

 

80%弱が反対

 そんな中、スイスで国民投票にかけられたのは、成人に対して毎月2500スイスフラン(約27万円)、未成年には625スイスフラン(約6万8000円)を支給するという提案。スイスが直接民主制の制度として保証しているイニシアティブ(国民発議)を使って民間団体から提案され、最低限必要な10万人を超える署名が集まったことから、国民投票で賛否が問われた。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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