インド中央銀行「ラジャン総裁」の「続投なし」で議論沸騰

執筆者:緒方麻也 2016年6月20日
タグ: インド
エリア: アジア

「スーパー・セントラルバンカー」として世界にその名を知られたインド中央銀行(RBI)のラグラム・ラジャン総裁(53)の突然の「任期延長辞退」は、インド国内に驚きと失望をもたらした。背後には政治的な駆け引きや思惑もありそうだが、モディ政権が結果的にラジャン総裁を続投させられなかったことで、海外の企業や投資家、エコノミストらによるインドへの信頼が大きく揺らぎ、株価下落や資金流出につながる可能性も指摘されている。

 

与党重鎮の「口撃」

 ラジャン続投を巡る議論の口火を切ったのは、商工相や法相などを歴任した与党インド人民党(BJP)の重鎮、スブラマニアン・スワミ上院議員(76)だった。スワミ氏は5月中旬、9月に任期切れとなるラジャン総裁について、「センシティブな金融情報を海外に漏洩させた」「米国べったりの政策で金融秩序を崩壊させた」「高金利政策を続けて中小企業に打撃を与えた」などと強く批判、モディ首相に対してラジャン氏の任期延長を認めないよう要求する書簡を送った。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
緒方麻也(おがたまや) ジャーナリスト。4年間のインド駐在を含め、20年にわたってインド・パキスタンや南アジアの政治・経済の最前線を取材、分析している。「新興国において、経済成長こそがより多くの人を幸福にできる」というのが信条。
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