「キャメロン」という「愚か者」:英国「EU離脱」の本質(上)

国末憲人

 マッチポンプのつもりで火を付けたら、消火方法を誤って火事になった。一言で表現すると、こんな感じである。

 欧州連合(EU)からの離脱か残留かを問う6月23日の国民投票で、「離脱」の結果が出た。世界中が大騒ぎになり、株価は暴落した。これはただ、騒ぎの終わりではない。今後の対応次第では、延焼を重ねて大火となりかねない出来事だ。

 今回の英国の騒ぎは、米国のトランプ旋風、フランスやオーストリアでの右翼の台頭と軌を一にする「ポピュリズム現象」として位置づけるべきだろう。そうでなければ、首相のキャメロンがなぜ愚かにも火を付けたか、なぜ消火に手間取ったのか、火が今後どちらに向かうのかを、理解できないからである。

 

余計な火遊び

 島国であり、栄光の大英帝国時代の記憶が残り、米国との特別な親密さを維持してきた英国は、EU加盟28カ国の中でEUへの親近感や帰属意識が最も薄い国だった。ただ、EU離脱を主張する勢力が決して大多数を占めるわけではない。2大政党のうち、与党の保守党、野党の労働党それぞれには一定数のEU懐疑派がいたが、政権を動かすほどのまとまりを持つことはなかった。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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