台湾・ASEANから見た「南シナ海」裁決

野嶋剛
翌日にはさっそく台湾海軍の艦船を視察するパフォーマンスも行った祭英文総統(C)AFP=時事

 

 国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日、フィリピンが中国を相手に訴えた案件について、中国が南シナ海の島々に対する領有権を主張する根拠としてきた「9段線」は、国際法上の論拠がないと認定した。南シナ海で領有権紛争が起きている南沙諸島(スプラトリー諸島)の島々についても、「島」ではなく「岩」、あるいは「低潮高地(暗礁)」として、領海あるいは排他的経済水域(EEZ)を形成できないとの考えを示した。内容からすれば、中国の全面敗訴という形となり、予想以上に中国にとって厳しい結果となった。

 

「常識」を無視する中国

 中国がこの裁決を無視する態度に出ることは、事前の「宣伝」が効いていて国際社会でも織り込み済みの感があるが、今後、中国はすでに実効支配している島々に対して、より大きな軍事的プレゼンスの誇示や、漁港・観光面での人や物資の送り込みなど、さらなる実効支配の強化をアピールする行動を起こすだろう。中国内では一部識者から南シナ海での防空識別圏の設定も取りざたされている。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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