「王妃誕生日」狙ったタイ「爆破テロ事件」の背景

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2016年8月19日
カテゴリ: 国際 政治 社会
2007年12月、儀仗(ぎじょう)隊を観閲するプミポン国王とシリキット王妃。国王はこのとき80歳(C)AFP=時事

 

 タイにおいてシリキット王妃(1932年~)の誕生日である8月12日を「母の日」と定め、12月5日のプミポン国王の誕生祝賀行事に準ずる規模で全土を挙げて盛大に祝うようになったのは、王妃の立ち居振る舞いが国政の動向に微妙な影響を及ぼすようになった1980年代に入ってからのように記憶する。

 昨年は誕生日から遅れること4日の8月16日、タイ政府主催で「Bike for MOM」と名づけられた祝賀行事が行われた。ワチュラロンコーン皇太子を先導役に、首相、副首相、国軍最高司令官、陸・海・空3軍司令官、警察長官、最高裁判所長官など政府・国軍・司法当局・中央官庁などの主要幹部200人余が王宮周辺道路をパレードするとともに、全土では25万人余が参加してギネス記録を達成しただけではなく、海外各地でもタイ人による自転車パレードが行われた。

 そして翌17日、王妃誕生祝賀ムードの余韻が冷めやらぬバンコクで、爆破テロが発生したことを記憶しているだろうか。現場は庶民が篤く信仰し、海外からの観光客が多く集まるエラワン廟だった。容疑者は逮捕されたものの、犯行目的も曖昧なままに、事件は忘れ去られようとしていた。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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