中国の五輪メダル獲得「挙国体制」が終焉へ

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2016年8月29日
銅メダルを掲げる傳園慧選手。彼女の発言は世界で話題になった(『Chinanews.com』より)

 

 今回のリオ五輪で、メダル数の拡大に沸く日本を尻目に、中国の伸び悩みは、会期中からちょっとした話題になった。それでも金メダル獲得数では世界3位ではあるのだが、過去に比べれば、その陰りは明らかだ。最大の理由は、2008年の前々回北京五輪を頂点とする「国威発揚型挙国体制」によるメダル獲得の愛国ゲームが一段落し、精神論や愛国意識では「90後」(1990年代生まれ)と呼ばれる若者が中心のアスリートを鼓舞できない時代を迎えていることにある。

 

「英雄→裏切り者→救世主」

 不振続きの中国のなかで、会期最終盤でようやく大輪の花を咲かせたのは、女子バレーボールだった。決勝戦でセルビアをセットカウント3−1で破って、12年ぶりに世界一の座をつかんだ。予選ラウンドではオランダ、米国、セルビアに敗れて予選グループを4位でかろうじて通過して決勝ラウンドに残ったのは日本と同じ。そこから這い上がっての頂点に、ストレスのたまっていた13億の人民は快哉を叫んだのだった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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