「クーデター」もありえる「ベネズエラ危機」の深刻度

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2016年8月30日
エリア: 中南米
8月13日、日用品を求めるベネズエラ人があふれるコロンビアとの国境付近 (C)EPA=時事

 ブラジルの大統領弾劾裁判などの報道の陰に隠れ、国際報道からも見放されてきた感のある「ベネズエラ危機」が、いよいよ深刻度を増してきた。先のG7伊勢志摩サミットでも、「解決は緊急を要する」と首脳宣言で取り上げられ8月19日付のフィナンシャルタイムズ紙も社説でこの問題を論じている
 中南米の域内からも解決の糸口が見つからず、国際問題化することに対する警鐘が各方面から打ち鳴らされている。

インフレ率700%

 実際、急速な経済の下落と3桁のインフレが亢進する中で、国民生活は窮乏の一途をたどり(4人に3人が貧困状態)、治安も世界最悪の水準に悪化、深刻な物不足は保健衛生分野にも及び、人道的にも国際支援が緊急に必要な段階に危機のステージが上がっている。15万人を超す人々が国境を越えて必要物資を求めてコロンビア領内に入り商店に殺到する異常事態を招いているのだ。だが、マドゥロ政権が、チャベス前大統領の敷いた体制の維持に腐心するあまり、内政への干渉を避けるため「人道的危機はない」と国際支援を拒み続ける中で、国際社会も対応に手詰まり感が強い。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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