北朝鮮「SLBM」発射成功(上)驚異的スピードで開発

平井久志
執筆者:平井久志 2016年9月1日
エリア: 北米 朝鮮半島 日本
北朝鮮が今年4月に発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) (c)EPA=時事

 北朝鮮は8月24日午前5時半ごろ、咸鏡南道新浦付近の海域で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)1発を東北東方向へ発射、SLBMは約500キロ飛行し、日本の防空識別圏の約80キロ内側の海上に落下した。北朝鮮は意図的に高角度で発射する「ロフテッド軌道」で発射しており、通常の角度で発射していれば1000キロ以上は飛行したとみられた。

「勝利中の勝利」と自賛

 北朝鮮の党機関紙「労働新聞」は25日付1面で、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の指導のもとでSLBMの発射実験が成功裏に行われたと報じた。金正恩党委員長は今回の発射実験を「成功中の成功、勝利中の勝利」と高く評価した。韓国軍は北朝鮮のSLBMの実戦配備は早くても2、3年後と見ていたが、これは過小評価だったことが明らかになった。韓国メディアは、北朝鮮は1、2年以内に実戦配備が可能で、場合によっては年内にも実戦配備が行われる危険性があるとした。韓国国防部は8月29日、国会の攻防委員会での報告で、北朝鮮のSLBMの実戦化について「今後、北韓(北朝鮮)は、SLBM配置のために尽力するとみられ、信頼度の検証のための追加発射、潜水艦作戦能力の点検などをし、戦力化までに1~3年程度の期間が必要と予想する」とした。
 北朝鮮のSLBMが実戦配備直前の段階まで来たことは否定しがたい。北朝鮮がSLBMの実験に成功したことは何を意味するのか、危機はどういう水準まで来ているのだろうか。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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