ヨーロピアン・ラプソディ (4)

「ブルキニ騒動」が示す「ヨーロッパの空気」

執筆者:大野ゆり子 2016年9月8日
エリア: ヨーロッパ 中東

 南仏の海岸で、今夏、女性の水着をめぐって熱く議論された「ブルキニ」着用問題。本来人前で肌をさらしてはならないイスラム教徒女性が全身を覆う水着「ブルキニ」は、「政治的な挑発」(サルコジ元大統領)なのか、「女性の奴隷化の象徴」(ヴァルス首相)なのか、それとも個性溢れるファッションなのか――。フランスの地方自治体が出したブルキニ禁止令は国務院(フランス行政裁判での最高裁)で無効とされたが、この問題が象徴する、「ホスト国」である西欧諸国がイスラム教徒にどこまで「同化」を要求するのか、というテーマは、長引くテロとの闘いで焦燥するヨーロッパで、今後、ますます白熱する勢いだ。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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