反中派が躍進した「香港立法会選挙」見聞記

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2016年9月14日
エリア: 中国・台湾
なぜか、いま、香港で「毛沢東」が……(筆者撮影)

 

 かつて世界のGDP(国内総生産)の8割を押さえていたと中国人が豪語する宋代の都であった杭州で開かれたG20(20カ国・地域)サミットに世界のメディアが注目していた頃、香港では香港版総選挙ともいえる立法会選挙が行われていた。

 9月4日の午前7時半に始まった投票は、締め切り時間である夜の10時半を過ぎても有権者の行列が途切れることなく、時計の針が5日を過ぎても投票を受け付けた投票所もあったほどだ。香港島中部にある投票所に足を運んでみたが、投票締め切り時間直前だというのに、多くの有権者でゴッタ返していた。日本では閑散とした投票所で投票することを常としているだけに、一種の感動を持って有権者の列を見入ったものだ。

 翌5日の新聞は、中国系『大公報』『文匯報』から、代表的な中立系『星島日報』『明報』、それに反中派の『蘋果日報』、さらには有力英字紙の『サウスチャイナ・モーニングポスト』までが一斉に、200万人を超える有権者が投票所に足を運んだことを、驚きと感動を滲ませて報じていた。最終投票者は220万人強で、投票率は58.28%(前回2012年は53.05%)だった。年齢に関係なく、日頃から政治向きの話を嫌う友人までもが投票したと答えていたところからしても、やはり今回の選挙への関心は高かったということだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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