信濃町ウォッチング (2)

「創価学会」にとっての「東京都議選」の重み

執筆者:フォーサイト編集部 2016年10月28日

 9月22日付朝日新聞朝刊が、原田稔創価学会会長のインタビュー記事を掲載した。創価学会の最高首脳が一般メディアに登場することは決して多くない。それだけに「創価学会はどこへ」と題する原田稔会長インタビューには、池田大作名誉会長の健康状態や創価学会の組織実態などに関心をもつ政界やマスコミ界、宗教界などの注目が集まった。

原田会長中心の集団指導体制

 インタビューの中で原田会長は、健康状態の悪化が取りざたされる池田名誉会長について、「元気にしておりますよ。執筆活動などに専念しています」と答えるとともに、重要な判断も可能と発言。ただし、「数年前からは、基本的に運営は執行部に託し、見守っています」とし、重要な問題については池田名誉会長の指導を受けるものの、基本的には「私をはじめとする執行部内で相談しつつ、大きな方向性を定めています」と、昨今の創価学会は集団指導体制で運営されていることを初めて認めた。
「平和の党」を標榜していた公明党が、集団的自衛権の行使容認や安保関連法案に賛成したことについては、「公明党は、集団的自衛権発動の新3要件に『明白な危険』などの言葉で歯止めをかけた。憲法の平和主義、専守防衛の枠内に収めることができたと評価しています」とし、創価学会の平和路線に変化はないと強調。憲法改正を目指す安倍晋三首相は、「復古主義的」と指摘される日本会議と親和性があり、創価学会とは相いれないのではという指摘についても、「そのあたりはあまり心配していません。改憲運動を進める動きはありますが、憲法改正についても安倍首相は現実的に、賢明に判断なさるだろうと思いますよ」と、極めて楽観的に安倍首相を信頼する姿勢を見せた。
 さらには連立政権で公明党議員すなわち学会員が首相になる機会が訪れたとしたら、「それはそれでいいのではありませんか」「受けなければならないと思いますよ」と、連立政権下での学会員首相の誕生も可とした。
 もともと創価学会は、池田名誉会長の指導のもと、憲法9条の厳護や核兵器廃絶を声高に主張してきた経緯があり、靖国参拝に象徴される国家主義は「誤れる転倒の宗教」(池田発言)と排撃してきた過去をもつ。だが原田会長を中心とする集団指導体制下の創価学会は、本来は水と油の関係にある安倍首相を信頼し、自民党との紐帯を強めている。自公連立政権が、学会員首相の誕生を可能とするとなれば、それも良しということなのだろう。

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