オバマ政権のレガシー「対キューバ政策」の進展

足立正彦
執筆者:足立正彦 2016年10月30日
エリア: 北米 中南米

 米国の有権者は11月8日に次期大統領の選択を迫られている。だが、その一方で、2期8年間、大統領職にあったオバマ大統領は約80日後にはホワイトハウスを去ることになる。ワシントンは文字どおり政権移行の季節を迎えようとしている。
 オバマ政権の2期8年を振り返ると、オバマ大統領が大統領在職中に成し遂げることができたこと、また、成し遂げられなかったことがそれぞれある。歴代大統領と全く対照的であった対外政策の1つに対キューバ政策がある。2014年中間選挙で与党・民主党は惨敗し、共和党が上院でも多数党の立場を8年ぶりに奪還した翌月の同年12月、オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長はそれぞれ国際社会を驚かす発表を行った。米・キューバ両国の国交正常化交渉の開始である。バチカンが両国を仲介するかたちで1年半の秘密交渉が重ねられた結果、国交正常化交渉の開始が発表された。

88年ぶりの米大統領訪問

 国交正常化交渉開始の発表から間もなく約2年が経過しようとしている。その間に米国政府とキューバ政府は、実際、2015年7月に54年ぶりに国交正常化を図り、それぞれの首都に大使館を再開設した。オバマ大統領は大統領令に基づきキューバに対する渡航や通商、送金の規制措置を段階的に緩和し、キューバとのヒト、モノ、カネの交流の拡大を図ってきた。また、今年3月20日から22日までの3日間の日程でオバマ大統領は現職の米国大統領としては1928年のカルビン・クーリッジ大統領以来実に88年ぶりにキューバを訪問している。
 筆者は第2期政権での外交面での業績(レガシー)を誇示する目的の一環として、オバマ大統領が大統領選挙後にキューバを訪問することがあるかもしれないと考えていた。しかし、オバマ政権の対キューバ政策の転換に反対するマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)という2人のキューバ系米国人が共和党の大統領候補指名獲得プロセスに出馬している状況下でキューバを訪問したことに、オバマ大統領の自らの対キューバ政策の転換に対する自信を垣間見た思いがした。

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執筆者プロフィール
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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