トランプ時代の中東(3)閣僚候補者の「身体検査」で明らかになる中東の政府・反政府組織とのつながり

 「トランプ外交」(と書いてみるとなんとなく滑稽な感じがするが、これが世界の「新しい現実」である)はどうなるのか。過去の米国の政権にも増して、閣僚・重要ポストの人事が注目される。なぜならば、トランプ氏の大統領選挙戦の最中の発言からは、大統領就任後に採用される政策が、いかようにも解釈できるからだ。

 一方で、同盟国が金銭的負担をしていない、という一連の発言からは、長年の同盟国も実利の観点から無慈悲に切り捨てて、ロシアや中国と取り引きして、孤立主義に引きこもりかねないとも予想される。

 他方で、イスラエル・ロビーの代表格であるAIPACの大会での演説などを文字どおり受け止めれば、イスラエルを全面的に擁護し、イランと対決する対外介入主義の強硬姿勢も取りかねないようにも見える。先日紹介したボルトン元国連大使などは、もし要職に就けばトランプ政権を単独行動的でかつ介入主義的な強硬路線に引っ張りかねないと危惧する向きもある。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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