トランプ新体制と朝鮮半島(下)「求愛」と「恫喝」の並進路線

平井久志
執筆者:平井久志 2016年11月18日

 北朝鮮の動きの中で気になるのは、「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」を受けて機能不全に陥っている朴槿恵(パク・クネ)政権への対応だ。「崔順実ゲート」が韓国で10月下旬から問題化し始めると、北朝鮮メディアはこれを異例の迅速さと、異例の詳しさで報道している。北朝鮮への対決姿勢を示していた朴槿恵政権の機能不全に「ざまあみろ」という心理が働いているのはよく分かるが、北朝鮮は、韓国を分かっているようで分かっていない。

現地指導は「民生」から「軍事」へ

 北朝鮮メディアは9月22日に、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長が9月9日の第5回核実験成功に寄与した関係者と記念撮影を行ったと報じた。金正恩党委員長はこの記念撮影を1つの区切りにし、それ以降は、「大同江注射器工場現地指導」(9月24日報道)、「龍岳山わき水工場現地指導」(9月30日)、「万景台革命史跡記念品工場現地指導」(10月7日)、「柳京眼科総合病院現地指導」(10月18日)、「龍岳山石けん工場現地指導」(10月29日)と民生部門の現地指導を続けて来た。

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執筆者プロフィール
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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