タイ「新国王」の役割は重く大きい

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2016年11月21日
即位60周年(2006年)記念式典で並んだ在りし日のプミポン国王とワチラロンコン皇太子。右はシリキット王妃(C)AFP=時事

 

 プミポン国王の崩御から1カ月ほどが過ぎた。この間、タイではテレビも新聞もメディアは追悼番組と王宮における弔問の情景を報じるばかり。主要各社は現在のタイにおける国権の最高機関である国家平和秩序評議会(=NCPO、議長はプラユット暫定首相)の意向を受け、王位継承に関する報道を控えているとも伝えられる。一方、大手インターネットプロバイダーもまた、国家放送通信委員会の指導によって、ソーシャルメディアでの「不適切発言」の流布を厳重監視しているようだ。タイでは通常から不敬罪が厳格に適用されている。殊に現在のプラユット暫定政権下では厳しい。

 であればこそ、やはり国民の間で王位継承に関する議論など期待できないばかりか、新たな国王像を描くことすら覚束ない情況だ。国民的不安は増すばかりだろう。

 プミポン国王崩御の10月13日、即位手続きを踏むための議会が招集される一方、プラユット暫定首相は、ワチュラロンコン皇太子(1952年~)が王位を継承する旨を発表した。だが、「国民と悲しみを共にしたい」との皇太子の意向から、事実上、国王空位のまま現在に至っている。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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