インド財界を二分する「タタ財閥お家騒動」第2幕が勃発

執筆者:緒方麻也 2016年11月22日
タグ: インド 日本
グループの総帥ラタン・タタ会長は日本で2012年、大綬章を授与されたこともある(右から3人目)(C)時事

 

 インド最大のIT企業で株価の時価総額5兆ルピー(8兆円)に達するタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)や、1台約22万円の超低価格乗用車「ナノ」とジャガー・ランドローバー買収で一躍その名を知られたタタ自動車など、世界的知名度を誇るインド最大の財閥タタ・グループの内紛が一段と先鋭化してきた。

 持株会社タタ・サンズ会長を突然解任されたサイラス・ミストリ氏(48)は、今もタタ製鉄など有力グループ会社の会長職にとどまっているが、暫定会長に復帰したラタン・タタ氏(78)率いるサンズ取締役会は、ミストリ氏をこれらグループ企業でも解任しようと動き始めた。サンズはさらに、ミストリ氏支持に回ったグループ有力企業の独立取締役でもある大手財閥ワディア・グループ総帥のヌスリ・ワディア氏(72)の排除にも乗り出した。これに対し、ミストリ氏もついに法的手続きを開始。創業148年の大財閥を巡る騒動は、インドのビジネス界に大きな波紋を広げつつある。

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執筆者プロフィール
緒方麻也(おがたまや) ジャーナリスト。4年間のインド駐在を含め、20年にわたってインド・パキスタンや南アジアの政治・経済の最前線を取材、分析している。「新興国において、経済成長こそがより多くの人を幸福にできる」というのが信条。
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