瀕死の仏原子力大手「アレバ」に巨額出資する「三菱重工」への疑問

2009年に稼働予定だったフィンランドのオルキルオト原子力発電所3号機。いまだ完成せず、900億円近い損失が見込まれている(C)時事

 

 三菱重工業がフランス政府の求めに応じ、破綻に瀕している仏原子力大手「アレバ」への出資要請に応じることになった。国内のみならず、海外でも原子力発電所の建設計画が次々に暗礁に乗り上げる中で、三菱重工社長の宮永俊一(68)は社内の一部の反対を押し切り、敢えて「火中の栗を拾う」選択をしたのだが、「従来のアレバとの緊密な関係を維持するため」(関係者)という以外に、500億円近いこの巨額投資の成算を説明できないでいる。同社の決断の背後には、苦境に喘ぐアレバが「中国核工業集団」(CNNC)に支援を求め、その代償として最先端の原子力関連技術が中国に流出することを恐れる日本政府からの強いプレッシャーがあったとも囁かれている。軍需メーカーの宿命とはいえ、政治に翻弄される体質はこの会社の宿痾であり、「日の丸ジェット」の名で国威発揚を背負わされたMRJ(三菱リージョナルジェット)プロジェクトの迷走も合わせ、同社の先行きに暗い影を投げかけている。

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