波乱必至:予測不能の「トランプ政権」を予測する手掛かり

トランプ米大統領の登場は、世界情勢にどんな影響を与えるか (C)AFP=時事

 2017年を展望する上で、ドナルド・トランプ氏が大方の予想に反して、第45代の米国大統領に選出されたことが、Brexit(イギリスのEU離脱)や欧州でのポピュリスト勢力の台頭などと相まって、世界の波乱を予想させる要素であることは間違いないだろう。筆者もそうだが、米国の主流のメディアや有識者が、最終的にトランプ候補の勝利を予想できなかったのは、トランプ氏のように政治経験がないだけでなく、人格的にも社会的にも、多くの問題を抱えている候補を、米国の有権者が大統領に選ぶとは信じたくなかったからだろう。つまり、願望が冷徹な分析を曇らせた。当選後、1カ月以上を過ぎた冷静な頭で考えても、トランプ氏ほど、国家の指導者としての資質に欠けている人物はそうはいないだろう。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席研究員。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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