「トランプ大統領」登場で世界の製造業に起きる「地殻変動」

この人の登場で、世界は大きな地殻変動に見舞われるかもしれない(C)AFP=時事

 

 トランプ次期米大統領の舌鋒は選挙キャンペーン時に比べれば鈍ってきたが、”トランポノミクス”は就任前から世界に影響を拡げている。中国、ロシアなどとの国際政治の駆け引きはひとまず置くとして、今、注目すべきは「製造業の地殻変動」といっていい。1990年代初頭に冷戦構造が崩壊し、先進国企業が雪崩を打つように低賃金の途上国に生産拠点を移した潮流は、「米国に生産拠点を引き戻し、雇用を守る」というトランポノミクスによって再び方向を転換しつつある。中国などの人件費が急騰し、生産地としての魅力が薄れ、さらにドイツの「インダストリー4.0」、米国の「インダストリアル・インターネット」のような「人から機械へ」という動きも加速する。トランポノミクスは世界の製造業の大きな転換点になるかもしれない。

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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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