「外交指南役」はキッシンジャー氏:トランプ氏の「親ロシア」への転換を実現へ

1973年11月、毛沢東主席(左)と握手を交わすキッシンジャー米国務長官(当時)。当時からずっと、中国の弁護者とみなされてきたが… (c)AFP=時事

 安倍晋三首相がトランプタワーにドナルド・トランプ次期大統領(70)を訪ねた昨年11月17日。まさにその日その場所で、外交の大御所、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官(93)がトランプ氏と会談していたことはあまり知られていない。
 実は、キッシンジャー氏はトランプ政権の外交指南役として、旧知の次期大統領に外交の基本戦略を説いていたのだった。
 それだけではない。キッシンジャー氏は別に、マイケル・フリン次期大統領補佐官(国家安全保障問題担当=58=)と、合計数時間にわたって外交論議を重ねてきた。さらに、自分のスタッフだったK・T・マクファーランド氏(65)を副補佐官(同)としてホワイトハウスに送り込んだ。またトランプ氏に対して、レックス・ティラーソン前エクソンモービル会長(64)を国務長官に、と推薦していた。まさに、キッシンジャー氏が次期政権の外交の後ろ盾となっていたのだ。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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