「トランプ政権誕生」に揺れたEU首脳会議:BREXITとメイ英首相の悲哀

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2017年2月9日
エリア: 北米 ヨーロッパ
メイ英首相(右)の胸中は、メルケル独首相(左)に伝わったのか (c)AFP=時事

 2月3日にマルタで開催されたEU首脳会議(欧州理事会)の議題はヨーロッパへの難民阻止とトランプ政権誕生がEUにもたらす影響だったが、BREXITのための3月からの交渉を明言し、トランプ大統領と最初に会談したメイ英首相の動きがもうひとつの焦点だった。

「われらがドナルド」の気骨とEUの警戒心

 今回の首脳会議開催は、折しもトランプ大統領がイスラム圏7カ国からの入国停止の大統領令に署名し、世界でトランプ政権のこの措置に対する反対行動が高まっている時期だった。EU諸国は原則的にトランプ政権のこうした差別的な移民排除の政策については反対の姿勢だが、現実には自らもEUへの難民取り締まりに傾いている。矛盾を抱えながらの対米外交の模索だ。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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