北方領土「共同経済活動」に蠢く「期待」「計算」「疑心暗鬼」

執筆者:名越健郎 2017年2月27日
「成果に乏しかった」と言われた昨年12月の日露首脳会談だが、その後の進展は……(C)時事

 成果に乏しかった昨年12月のプーチン・ロシア大統領の訪日で、唯一のサプライズが北方4島での共同経済活動に向けた協議開始だった。「特別な制度」を協議する秋葉剛男外務審議官とモルグロフ外務次官による本交渉が3月中旬に東京で始まる。ロシア側は当初、ロシアの法律の下で実施すると牽制し、交渉難航が予想されたが、ここにきてハードルを下げつつあり、早期合意を目指したい構えだ。背景には、ロシアの財政難や北方領土開発の難度の高さがありそうだ。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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