「金正男暗殺事件」で新たな「中朝関係」が始まる?

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2017年2月24日
互いに母親が正妻ではなかったため「嫡男」ではない分、本来ならば「長男」が正当な後継者だったはずだが……(C)AFP=時事

 

 マレーシアのクアラルンプール国際空港における金正男暗殺事件は、確かに世界を震撼させた。時間の経過と共に、容疑者が逮捕され、多くの証拠が集められ、新たな容疑者が捜査線上に浮かびあがり、新たなる「事実」が報じられるようになる。だが、その「事実」がアメリカのトランプ大統領風に表現するなら「フェイク・ニュース」なのか「もう1つの事実」なのかは不明だ。多くの専門家が事件の経緯や背景を解説しているが、やはり隔靴掻痒の感は否めない。そこでいよいよ真相は薮の中ということになる。

 事件発生から10日ほどが過ぎ、マレーシア政府当局から“真相”が徐々に明らかにされつつあり、やはり大方の予想に違わず北朝鮮政府の犯行という方向に向かっている。であればこそ、なぜ、この時期にという疑問は解けそうにない。

 国際社会からの轟々の非難を逆撫でするかのように、人工衛星打ち上げを僭称してのミサイル発射実験、原爆実験、ついにはICBM(大陸間弾道ミサイル)まで手に入れ、これに小型原爆を装着すればアメリカ大陸への原爆投下も狙える段階にまで、北朝鮮の核攻撃能力は進んだ。ということは、中国全土はおろかロシアも標的となりうるのである。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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