「オバマケア代替案」を巡る共和党内の「不協和音」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2017年3月10日
カテゴリ: 国際 政治 医療 社会
エリア: 北米
「完全撤廃」ではなく「一部修正」になるか?(C)AFP=時事

 

 オバマ前政権の内政面における代表的な「レガシー(業績)」の1つは、民主党が大統領、上院、下院のすべてを支配していた2010年3月に成立させることができた医療保険制度改革法、通称「オバマケア(Obamacare)」である。米国における医療保険制度の導入を図るための取り組みは、オバマ政権誕生の1世紀以上昔のセオドア・ルーズベルト政権にまで遡る。その後、ハリー・トルーマン、リンドン・ジョンソン、ビル・クリントンなどの歴代の大統領も何とか導入を図ろうとしたが、実現できずに挫折してきた。だが、オバマ前大統領は「オバマケア」を成立させ、2014年1月から実際に導入されたが、新たに約2000万人が医療保険制度に加わったことで無保険者の割合は低下した一方、医療保険料の大幅な高騰も招いている。

「オバマケア」に対しては、成立直後から共和党が激しく反発していた。とりわけ、「大きな政府」の出現と財政赤字の増大を懸念する保守系有権者の草の根運動であるティーパーティー(茶会党)運動が高揚した2010年中間選挙で共和党が勝利し、翌11年1月から同党が4年振りに下院での多数党の立場に復帰してからは、撤廃を求める動きが一層強まっていった。さらに、2016年大統領選挙キャンペーンでも主要争点の1つに位置付けられ、修正を加えた上での存続を訴えたヒラリー・クリントン民主党大統領候補に対し、トランプ氏は即時撤廃を訴えていた。

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執筆者プロフィール
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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