ヨーロピアン・ラプソディ (5)

3.22ロンドン・テロ:もはやヨーロッパの「常態」に

執筆者:大野ゆり子 2017年3月24日
エリア: ヨーロッパ 中東
3月23日、ロンドンのトラファルガー広場で、テロ犠牲者を追悼する人々 (C)AFP=時事

 ブリュッセル同時多発テロの、ちょうど1年後の3月22日。ロンドンの中心部でのテロのニュースが飛び込んできた。

 「3.22という日付」が何かのキャンペーンを意味するのか、大した意味はないのか、まだ当局はつかみかねているという。4日前には、パリのオルリー空港のテロ未遂事件があり、ヨーロッパに住む人間は「テロがどこで起きても不思議ではない」という状態がデフォルト(常態)になる「日常」に生き、それにある程度、慣れるようになってきている。ちょうど10年前にテロが続発していたイスラエルのテルアビブで体験したのと、同じような感覚だ。空港、デパート、コンサートホールに、目を光らせ、武器を持った軍人がいる一方で、その横を何事もなかったようにカップルやベビーカーを引いた若いお母さんが通り過ぎる。テルアビブで見たときはびっくりしたが、今やヨーロッパの日常風景だ。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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