日本の「PKO」再考(下)「法体系なくして派遣なし」の議論を

伊勢崎賢治
執筆者:伊勢崎賢治 2017年3月31日
エリア: アフリカ 日本
2015年10月3日、米軍によって誤爆されたアフガニスタン・クンドゥズの病院。オバマ大統領は「国境なき医師団」に謝罪した[国境なき医師団提供](c)時事

 先に、PKOにおいて自衛隊が「加害者」になる可能性がある、と述べた。

 軍隊が引き起こす犯罪には2通りある。1つは「統制犯罪」。これは公務中における服務違反であり、どんな官僚組織にもある内規によって懲戒処分で対処するもので、日本にも自衛隊法がある。公務外での、例えば窃盗や殺人であれば通常の刑法、日本国内であれば日本の刑法で対処できる。

いつでも起こりうる「戦争犯罪」

 もう1つは「軍事犯罪」。公務中における市民の殺傷など、国際人道法上の違反行為、つまり戦争犯罪である。通常の刑法でも、殺人や放火は死刑になる重犯罪だ。軍隊とは、殺傷や破壊の技術を日々専門に訓練している職能集団だから、通常以上に重い刑罰を科すのは当然だ。しかし、それが軍の命令行動の一環であるなら、それは個人の過失ではなく軍組織としての過失だから、その刑事性が勘案されるというのが、通常の刑法と軍刑法が大きく異なる点である。

 何度も述べていることだが、戦争や交戦は全て、国際人道法というルールに則って行われなければならず、これに違反した場合は「戦争犯罪」として裁きを受けなければならない。

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執筆者プロフィール
伊勢崎賢治 東京外国語大学大学院教授。1957年東京生まれ。内戦初期のシエラレオエネを皮切りにアフリカ3カ国で10年間、開発援助に従事し、その後、東ティモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当し内戦の終結に貢献する。その後、アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。著書に『新国防論 9条もアメリカも日本を守れない』(毎日新聞出版)、『本当の戦争の話をしよう:世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社)、『日本人は人を殺しに行くのか:戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書)、『武装解除』(講談社現代新書)など。最新刊に『テロリストは日本の「何」を見ているのか』(幻冬舎新書)。
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