日本の「PKO」再考(中)「紛争の当事者」になった国連

伊勢崎賢治
執筆者:伊勢崎賢治 2017年3月30日
エリア: アフリカ 日本
南スーダンの首都ジュバで、訓示を受ける陸上自衛隊第11次隊[防衛省提供](c)時事

 南スーダンでは、不穏で緊迫した状況が続いている。政権を握る大統領派と前副大統領派の武装勢力が衝突しているだけでなく、各民族の反政府勢力も武装しており、複雑な対立構造となっているのだ。

事件が頻発している南スーダン情勢

 3月25日には、援助関係者である非政府組織(NGO)の職員6名が、首都ジュバから東方のピボルへの移動中に襲撃されて全員が死亡。その前の15日には中部で人道支援の車列が襲われて国際移住機関(IOM)職員ら5名が死傷している。さらに12日には、南部のイエイで国連職員が戦闘に巻き込まれそうになり、国連平和維持活動(PKO)に参加している中国軍部隊が、ホテルにいた職員7名を救出して保護した、という事件も発生している。

 こうした状況を国連も憂慮しており、グテーレス事務総長は23日に開かれた安保理事会閣僚級会合で、南スーダン政権が問題を解決しようとせず支援を妨害している、と厳しく批判している。

 そんな中での、5月末の自衛隊施設部隊撤収である。本記事(上)でも触れたが、“護憲派”の一部からは、「自衛隊員の命が守られた」と、この決定を歓迎する声が上がっている。

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執筆者プロフィール
伊勢崎賢治 東京外国語大学大学院教授。1957年東京生まれ。内戦初期のシエラレオエネを皮切りにアフリカ3カ国で10年間、開発援助に従事し、その後、東ティモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当し内戦の終結に貢献する。その後、アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。著書に『新国防論 9条もアメリカも日本を守れない』(毎日新聞出版)、『本当の戦争の話をしよう:世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社)、『日本人は人を殺しに行くのか:戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書)、『武装解除』(講談社現代新書)など。最新刊に『テロリストは日本の「何」を見ているのか』(幻冬舎新書)。
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